酒母造りのための酒米の蒸かし、麹造りが始まりました。
酒母造りは酵母を増やす行程のことで、杜氏や蔵人は「酛立て」(もとだて)と呼んでいます。酒母は醪(もろみ)の発酵を促すための酵母を大量に培養したもので、これを培養するためには麹米と掛米(蒸かした酒米)は、なくてはならない栄養源となります。
精白、浸漬、水切り後の酒米を甑(こしき、酒米を蒸す装置)で一時間程蒸かします。蒸かした後、蒸し具合を見る方法が「ひねり餅」です。少量の蒸し米を手に取り熱いうちに手のひらでひねって餅をつくります。下の写真はそのひねり餅で蒸し上がり具合を杜氏がみているところです。
その後、麹室で酒米を広げて冷まします。酒米の品温が32度から33度になったところで種麹を均一に散布した後、ふりかけた麹菌が米全体に満遍なく付着するようにしっかりと手で揉みこみ混ぜ合わせていきます。そして布に包んで寝かせます。
6時間後くらい経ったら布にくるんで固まった酒米を崩して品温と水分を均質にするため、また麹に酸素を供給するための「切り返し」と呼ばれる作業をします。
2昼夜後に酒米の中心まで均一に麹の菌糸が行き届いた「出麹(麹米)」が出来上がります。
下の写真は杜氏が酒母造りのための麹米に掛米を混ぜて酒母を培養するための
準備をしているところです。
日本酒造る行程は丁寧に、そして繊細な作業が欠かせません。